Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

2018-09-09から1日間の記事一覧

ジョゼと虎と魚たち

純愛を物語にするためには、“障害”が必要である。たとえば遠距離、身分の差、不治の病……古今東西、恋を阻む様々な“障害”が設定され、それを乗り越える愛の様を描くことで、物語は感動的なものとなってきた。ただくっついた別れたというような話が、障害の存…

恋は邪魔者

1962年──アメリカにもっとも愛された大統領、ケネディの時代である。この若い大統領は進歩と平等と豊かさを説き、アメリカ初の宇宙船を飛ばせて国を沸かせた。その妻ジャクリーンは美しく、国中の女性が憧れるファッション・リーダーとなる。翌年の大統領暗…

レニー・ブルース

およそ40年前のアメリカで人気を博した伝説的毒舌コメディアン、レニー・ブルース。本作では彼が場末のキャバレーから出発して大スターまでのし上がり、事故やクスリでまた没落していく様をドキュメンタリー風に再現する。そもそも猥雑なショウ・ビズの世界…

コール

6歳の娘とその両親、3人を別々に誘拐して別の場所で監視する。だが犯人は「決して誰も殺さない」と決めている──人質と信頼関係を結ぶことで安全に金を手にする、曰く“完全犯罪の”誘拐なのだ。 「犯人は異常人格だった」と逃げるサスペンスが多い中、この犯人…

泉麻人の昭和ニュース劇場

今年61になる母が初めて“デコレーション・ケーキ”というものを知ったのは、昭和36年の冬、友達の家のクリスマス会でだったという。見たこともない砂糖菓子のバラや、生クリームの波模様。どうやって食べるものかと息を呑んで見つめていたら、しばらく思案顔…

ロイヤル・セブンティーン

ニューヨークで母親と暮らす17歳の少女、ダフネ。ウエイトレスのバイトも楽しくて、何の不満もない生活なのだが、唯一気になっているのが父親のこと。実は彼女、イギリス貴族の落とし子だった…! 父親に会いたい一心で家出してロンドンまで出向いたものの、…

乱歩R

江戸川乱歩の著作を現代風にアレンジし、一話完結型に再構成した日本テレビ系列放映のミステリー・ドラマ。毎回豪華なゲスト・キャラが登場して事件が起こり、藤井隆演じる“明智小五郎の孫”が見習い探偵としてその解決にあたる。キャラを演じていないときの…

ファミコン 20TH アニバーサリーゲームミュージックDVD

ファミコン生誕20周年を記念した“見るサウンドトラック”で、ファミコン用ソフトから20作品、ディスクシステム用から10作品を選んで各場面の音源と映像を収録する。たとえば『スーパーマリオ』一つとっても、のどかなBGMに乗って水中を泳ぐ感覚、ノコノコを上…

おばあちゃんの家

都会育ちの7歳の少年が、山奥に一人で暮らす祖母の元に預けられる。祖母は耳が聞こえず、口も利けない。一方少年は見ていて腹が立つほどのクソガキで、ゲーム機の電池が切れたと騒ぎ、ケンタッキーのチキンが食べたいとわめく。無言のまま、自分にできるやり…

ばかのハコ船

「トレイシー・ローズ」という名を聞いて、「……ああ!」と、古くて青臭い記憶が甦ってくる人は少なくないのではないか。80年代後半に全国的に裏ビデオが出回った、アメリカのポルノ女優の名前である。田舎の高校生がバイトの先輩を拝み倒してダビングさせて…

藍色夏恋

夜中に忍び込む学校のプール、汗を吸った制服の白いシャツ、退屈な掃除の時間……郷愁の漂う初夏の台北を舞台に、誰もが何度も自分の“あの頃”見出すだろう、切なく甘酸っぱい物語である。 “人を好きになること”にまだ戸惑っている17歳の少女、モンは、親友が想…

THE LOST PICTURES, ORIGINAL CLIP's & CM's plus TESTAMENT TFG Television Service

89年から91年という短い活動期間の中で、フリッパーズ・ギターが発表したビデオは3本。その『THE LOST PICTURES and three plus one』『ORIGINAL CLIPS & CMs』『TESTAMENT』が、1本のDVDにまとめられた。時代の象徴として祭り上げられたスターたちのこうい…

風の絨毯

イランの世界遺産イスファンと、日本の飛騨高山という二つの歴史ある街を舞台にし、一枚のペルシャ絨毯をめぐってつながる少女と少年を描く。少女は、祭屋台にかけるペルシャ絨毯を受け取りに、父親と共にイランへ行く。絨毯は、その直前に事故で亡くなった…

私は「うつ依存症」の女

「私って変わってるヒトだから〜」などという人間に、個性的な人がいたためしはない。自分探しの本を喜んで読むような人には、探すべき自分などないものだ。 真のクリエイティビティを持つ人は、往々にして人間として規格外の部分を持っている。その生き方は…

パリ・ルーヴル美術館の秘密 ほか

「連想の道具としてのドキュメンタリー」 子供の頃、わざと迷子になってみようとした経験はないだろうか。毎日通る道から一本入って、知らない景色を楽しむ。知っている景色をいつもと違う角度で見るのも楽しい。 筋のないドキュメンタリー映画を観ていると…

阿修羅のごとく

夜中に電話が鳴る。手に取った受話器が今のケータイより大きい。あの頃は、夜中でも電話のベルの音を消せなかったことを思い出す。そうだ昭和のあの頃、風呂に入っても髪を洗わないことは珍しくなかったし、クリーニング屋はご用聞きに回って来ていた。 向田…