Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

2018-09-15から1日間の記事一覧

ユー・キャン・カウント・オン・ミー

事故で両親を失った姉弟が、正反対の大人に育った。姉のサミーは生真面目な常識人で、故郷の田舎町で息子と暮らす。弟のテリーはだらしのない風来坊で、子どもじみた行動がトラブルを招いてばかり。金に困った弟が久しぶりに故郷を訪ねて来たことから、静か…

レディ・イン・ザ・ウォーター

中庭に小さなプールを持つ、とある小さなアパートメント。そこにはさまざまな国から来た、多種多様な人たちが暮らしていた。何気ない日々が続く中、アパート管理人の男の前に“水の精”である少女が現れたことから、このおとぎ話が始まる。少女を自分の世界に…

やわらかい生活

両親の突然の死をきっかけに心のバランスを崩し、順風満帆の人生から降りてしまった優子。自分を守るために小さな嘘を重ね、何種類もの薬で心がしぼむのを防ぐ。そんな彼女の前に現れるのが、宿無しの従兄、紳士的な痴漢、気弱なヤクザ、EDの青年政治家──み…

16ブロック

NY市警のジャックは勤務中から酒をあおっているようないい加減な男。その日言い渡されたのは、留置場から裁判所までのたった16区画、ある証人を送り届けるという簡単な任務。ものの15分もあれば事足りる──と彼は思っていた。が、男が証言するのが警察内部の…

X-MEN ファイナルディシジョン

ストーリーを解説するのはヤボというものだろう。突然変異の超能力者たちを主人公とした、定番のアメコミ作品第三弾である。CGで精細に描かれるバカバカしいほどの超能力、臆面もない筋運び、アカデミー賞女優の無駄づかい──ああ、大好き! 娯楽作品としての…

ジャスミンの花開く

王道である。中国映画としても、歴史大河ロマンとしても。主演は“アジアの宝石”チャン・ツィイー。悲恋がつきまとう三世代の母娘たち──1930年代に銀幕スターを目指した茉(モー)、混乱の文革時代に情熱的な恋をした莉(リー)、父母を失って祖母に育てられ…

ダック・シーズン

“MTV出身監督のデビュー作、メキシコ・アカデミー賞で11部門制覇!”という売り文句は派手だが、実に淡々と流れ、けだるい中に小さな共感を感じるような一作である(エンドロールでジム・ジャームッシュと小津安二郎への謝辞があったのに納得)。舞台は古く巨…

プラハ!

このたった数ヶ月間の記憶を、チェコの人々はとても大事にしているのだろう。後に“プラハの春”と呼ばれる1968年の春から夏にかけての数ヵ月間、この国の人々は短い自由を謳歌した。共産党に権力が集中する体制に批判が高まったことから、この間だけ、言論・…

ウエディング・クラッシャーズ

呼ばれてもいない披露宴に堂々と忍び込み、飲んで騒いで楽しんで、最後には女の子をお持ち帰り──主人公はそんな“結婚式荒らし”が趣味の悪友コンビ。女の子だけが目的じゃない、二人はパーティが大好きで、人を楽しませるのが大好きなのだ。ある大物政治家の…

間宮兄弟

30代になっても中学生のころと同じ遊びをして、仲良く一緒に暮らす間宮兄弟。ポップコーンを抱えて深夜映画を観たり、グリコじゃんけんでお気に入りの中華屋まで出かけたり。楽しい毎日だけれどただ一つ、二人とも女の子に縁がないのが欠点で、一念発起して…

ナイロビの蜂

“美しいアフリカを舞台としたサスペンス・ラブ・ストーリー”として売りたいようだが、社会派ドキュメンタリーとして観た方が価値がある。主人公はもともと園芸だけが趣味の穏やかな男だったが、社会活動家の妻が謎の死を遂げたことに疑念を持ち、孤独な戦い…

ダ・ヴィンチ・コード

ルーブル美術館で猟奇殺人事件が発生、宗教象徴学の学者である男が協力を要請されるが、実は警察は彼を第一容疑者と見ていた。疑惑を晴らすため、男は警察の暗号解読官である女とともに、遺体の周辺に残された謎の解明に挑む。見えてきたのは、2000年もの間…

ククーシュカ

深い渓谷や草原が連なり、サンタクロースが住む場所としても知られる北欧・ラップランド。そこでフィンランドとロシアが戦争をしていたころ、二人の男と一人の女が偶然出会い、短くて不思議な共同生活を送った。男は共に自軍を追放された兵士で、敵同士。彼…

ピンクパンサー

フランス随一のダメ刑事、クルーゾー警部と、世界一の大粒ダイヤ“ピンクパンサー”にまつわる、お約束ギャグ満載のドタバタ劇。サッカーの試合会場、大観衆の見ている中で、毒矢による殺人事件が発生。真相追求のためクルーゾー警部がパリの街を駆けずり回る…

ニュー・ワールド

賛否両論が極端な一作だ。あまりに美しい色彩と映像、巨匠テレンス・マリックが極めて抑えた筆致で物語を描いたことへの賞賛。一方で、冗長、退屈、偽善的という評価もあるだろう。アメリカ建国の伝説を元にした物語で、舞台は1607年の東海岸。新世界を求め…

かもめ食堂

フィンランドのある街で、カフェの跡地に小さな日本食堂を開いたサチエ。街の人々は遠巻きに眺めるだけで店はガラガラだったが、マイペースな彼女の周りにはだんだん人が集まってくる。日本オタクの青年、なぜこの国に来たのか分からない日本人のミドリやマ…

ロンゲスト・ヤード

74年の名作のリメイクだ。八百長疑惑で不名誉な引退をしたアメフトの元スター選手が、落ちぶれた末に荒野の監獄に送られる。横暴な看守と囚人たちに嫌がらせを受ける中、彼は所長の企みで、囚人のアメフト・チームを作ることに。看守のチームが踏み台にする…

プルーフ・オブ・マイ・ライフ

よく“紙一重”と表現されるように、度を過ぎた天才は狂気を内包している。人が羨む才能も、本人にとっては幸せなのかどうか──そんな戸惑いを描く本作は、『恋に落ちたシェイクスピア』の監督と主演女優が再び組んで作った戯曲を映画化したもの。若く美しいが…

キスキス バンバン - L.A.的殺人事件

ちんけなコソ泥ハリーが警察に追われ、たまたま飛び込んだのが映画のオーディション会場。なぜかそこで演技力を見込まれてしまった彼は、役作りのためにゲイの(?)私立探偵に弟子入りすることになる。このデタラメなコンビに加え、ハリーの初恋の相手が売…

ハッピー・エンディング

アメリカの都市部では、ゲイやレズビアンのカップルが養子縁組や体外受精で子育てをしていることは少なくない。“カップル”の意味の多様化を当たり前とした上で、本作では10人の男女のおよそ9組の恋愛関係(片思いを含む)を描く。同性愛、異性愛、略奪愛、…

ナルニア国物語

第二次大戦の戦火に追われ、四人の兄弟姉妹が疎開したのは大きな古い館。その二階の空き部屋にある衣装だんすの扉を開くと、奥には半人半獣の生き物たちが暮らす異世界が広がっていた! 冷酷な“白い魔女”によって100年もの長い冬が続いているこのナルニア国…

キンキーブーツ

倒産寸前の靴工場が“女装用セクシー・ブーツ”で起死回生する、実話を元にしたコメディである。『フル・モンティ』にしろ『カレンダー・ガールズ』にしろ、この手のイギリス映画は小粒だけれど確実に楽しい。片田舎の平凡でちょっとダメな人たちが、逆境の中…

シン・シティ

バイオレンス・アメコミの世界を強引に、しかし忠実に実写化しただけで、かくも美しい映像ができてしまったか──。 原作は、芸術性のある作風で名高いフランク・ミラーの三編のアメコミ。これに惚れ込んだ“映画オタク”のロドリゲス監督がミラーを口説き落とし…

クラッシュ

ここ数年、都市部のコンビニや居酒屋で、来日間もない外国人が店員として立っているのは普通の光景となった。彼らの多くは若く、頑張り屋で、仕事も言葉もあっという間に覚える。一方で、同じ来日外国人による凶悪事件が多数起きていることも事実だ。「我々…

軍艦島 / ザ・ダム

雄大な大自然よりも、巨大な人工物を前にしたときのほうが心が躍る──そんな“元・少年”は少なくないらしい。朽ちた遺跡や廃墟、バカバカしいほどの巨大建築を見て、彼らはキラキラと目を輝かせる。たぶん、子どもの頃に“秘密基地”に熱中したタイプの人たちだ。…

探偵!ナイトスクープ

東京の人は関西のお笑い番組といえば『よしもと新喜劇』を思い浮かべるようだが、それは正解のようで不正解。この20年弱、関西人のお笑い気質をリードし、育ててきたのは、間違いなくこの『探偵!ナイトスクープ』のほうだ。88年の開始以来、夜11時台の放送…

青〜chong〜

「69 sixty nine」などで注目される李相日監督が映画学校の卒業作品して制作し、『ぴあフィルムフェスティバル』でグランプリを受賞、一般公開にまで至ったという、小品ながら上質の一本。“チョン”という差別用語を自らタイトルに冠していることから、在日3…

ハリー・ポッターと炎のゴブレット

あまりに危険なため、17歳以上でなければ参加できない“三大魔法学校対抗試合”。だがホグワーツ校の代表として選ばれたのは、まだ14歳のハリー・ポッターだった──説明不要の大ヒット・シリーズで、こちらの想像力を試すかのような架空の絶景や魔法の描写、そ…

私の頭の中の消しゴム

体より先に精神が死んでしまう病──若年性アルツハイマーにかかった27歳の女性と、その恋人を誠実に描く。子どものように素直で茶目っ気のあるスジンと、無愛想で真っ直ぐなチョルス。二人は出会い、互いに惹かれ、やがてその気持ちは成就する。が、しだいに…

愛についてのキンゼイ・レポート

結婚後に別の相手と性交渉した経験があるのは、男性で50%、女性で26%。同性愛経験のある男性は37%、女性の自慰は62%。さらに前戯にかける時間、性交の頻度、自慰の方法……人々の性行動がタブーとして隠匿されていた半世紀前、1万8千人にインタビューすること…