Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

2018-09-22から1日間の記事一覧

ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル

あのトム・クルーズが、ドバイの世界最高層ビル(828m)の外壁を、スタントなしでよじ登る。“ハリウッド大作”との表現は揶揄的に使われることも多いが、いやあ、ここまでやったら誰も文句は言わん。クレムリン大爆発、カー・アクション、肉弾戦、戦う美女た…

エンディングノート

あるおっちゃんが末期ガンの告知を受け、死の準備をする様をその娘が撮った、それだけのムービーだ。アマっぽく見せつつ、泣きや笑いの絶妙な配置は、もはやプロの仕事(作者の砂田麻美は是枝裕和や岩井俊二の弟子筋だが、本作が処女作)。昔は仕事命のモー…

灼熱の魂

時代も場所も明示されぬまま、現在と過去の物語が並行して紡がれる。観る者には不親切だが、湿気と陰のある映像に惹かれてそのまま眺めていると、ある女の業に興味を持つ。現代の舞台は、カナダ。変人だった母を亡くしたばかりの双子の姉弟がそれぞれ「父を…

ミッション:8ミニッツ

シカゴ郊外で列車が爆発、乗客は全員死亡。主人公の男は、その直前8分間の世界に“意識”を送り込まれた。死者は死の直前の8分間の記憶を神経に残している。その残思念をプログラムで世界化し、その中に潜り込んで連続爆破テロの犯人を捜す、というのが彼の任…

清水ミチコ物語

CD

デビュー25周の清水ミチコ、モノマネCD7枚のベスト盤である(このジャンルに“ベスト盤”という概念があり得たんだ!?)。ユーミンや桃井かおりなど彼女の古典的名技での熱唱を始め、作曲法の模倣やピアノ技術など、お笑いの裏に音楽的素養を感じる点は多いが、…

スリーデイズ

ある朝、妻が逮捕された。親子三人の平穏な暮らしが突然壊れてしまう。容疑は女上司の殺害。妻はその上司と仕事で衝突した直後で、物証や目撃証言もある。無実を信じる夫はそこで──他の映画なら警察や司法との戦いになるところだが、この夫、穏便に見えて実…

ウィンターズ・ボーン

かの虚栄の大国には、“ホワイト・トラッシュ(クズ白人)”と呼ばれる白人の貧困層が少なからず存在する。主人公の家庭もそのひとつで、父は覚醒剤密造で逮捕された後、家族を放り出し行方をくらませた。以降、たった17歳の少女が、一家の柱として弟妹の面倒…

リメンバー・ミー

いつも横にいた人を突然失ったとき、ぼっかりと心に空く穴──。タイラーは6年前、兄が首を吊っているのを発見した。以降、名門一家の絆はほどけてゆき、彼もただ散漫な生活を送るのみ。アリーは10年前、目前で強盗に母親を射殺された。だが今は警官の父ととも…

フェア・ゲーム

ブッシュ政権下の米国での実話。対イラク開戦に気がはやる政府は、「核兵器は存在しない」というCIAの情報を国策に合わせ捻じ曲げる。真実を主張するCIAの女情報員とその夫は、やぶ蚊のように煩わしい存在。そこで政府は、あろうことか女情報員の身元をマス…

ゴーストライター

英国元首相の回顧録を代筆していた男が、謎の死を遂げる。後任に選ばれた別の男がゴーストライターとして元首相らに近づくが、思慮が浅く軽薄な元首相、不倫関係にある美人秘書、自暴自棄になっている妻など、およそ高尚な政治世界とは無縁の俗物ばかり。嫌…

BIUTIFUL ビューティフル

約2時間半、始終夕暮れ時のような陰鬱な場面が続くが、映画としての評価は高い(アカデミー他数々の外国語賞、主演賞候補に)。が、観て爽快になる要素はまるでない。舞台はスペインの裏町。情緒不安定な妻と別れ、2人の子を養うために、非合法の仕事に手を…

松浦亜弥 10TH ANNIVERSARY BEST(CD+DVD)

松浦亜弥のデビュー10周年、2枚目のベスト盤は“大人仕様”。「♡桃色片想い♡」「Year! めっちゃホリディ」といったキャンディ・ポップ・元気ナンバーは再録されたものの、メインはアーティスト活動に力を入れはじめた中期以降の大人な楽曲。竹内まりあ作の新曲…

ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える

結婚前夜の新郎を泥酔させたりストリッパーを呼んだり、男仲間でバカ騒ぎする“バチェラー・パーティ”。その顛末を描き、低予算で出演者も無名ながら全米No.1ヒットとなった前作のダメっぷりを、今回はさらにスケール・アップ。最悪の二日酔いで彼らが目覚め…

プリンセス トヨトミ

万城目学原作の壮大なホラ話を映像化。ホラをホラとして楽しむ度量があるかどうかが肝。1615年、大坂夏の陣で豊臣秀吉一族は徳川に根絶やしにされた……はずだったが、ただ一人の生き残りがいた。忠臣らはその末裔を代々見守り続け、早400年。実は大阪は、今も…

タンタンの冒険:ユニコーン号の秘密

“シャーロキアン”(→シャーロック・ホームズ)、“トレッキー”(→スタートレック)など、あまりにも熱く根強いマニアには群としての固有名詞がつくことがある。マンガ『タンタンの冒険旅行』シリーズもそのひとつで、1929年にベルギーの子ども新聞に連載が始…

キッズ・オールライト

男勝りで堅物な才女と、感覚的でフワフワした美女──レズビアンのカップルによく見る組み合わせだ。その二人が精子バンクを使い、娘と息子を産んで“家庭”を築いている(↑米国都市部ではもはや珍しくない家族形態で、本作の監督もその内の一人)。が、成長した…

Live! 清水ミチコのお楽しみ会 ”バッタもん”

2009年のモノマネCD『バッタもん』と翌年のライヴ・ツアーが好評で、調子に乗って(!?)DVD化。ヒット曲モノマネメドレーの60〜80年代はどれも激似の名人芸、爆笑必至。しかし90年代の宇多田ぐらいから微妙?になり「私に任せてないで、自分でネタの意図を汲…

X-MEN:ファースト・ジェネレーション

あの『X-MEN』が時代を一気に1940年代まで戻し、主要キャラの少年時代や、当時のミュータントたちの抑圧された立場を描く。シリーズを重ねるごとにギャラもプライドも跳ね上がっていった出演陣を思い切って解散、若手を軸として、全体をリセットしたのも吉。…

ブルーバレンタイン

無邪気で奔放な男と、真面目で堅実な女が出会い、互いに惹かれ、結婚して娘にも恵まれる。しかし人の気持ちが永遠に同じであるはずがない。本作ではその二人の邂逅から破局までのエピソードを分解して破片にし、過去と現在を交錯させて再構築。かつては魅力…

ブラック・スワン

ブラック・スワン 清純な“白鳥”と、邪悪で官能的な“黒鳥”──相反する二役を一人が演じるバレエ『白鳥の湖』。 主人公ニナは技術は完璧だが、黒鳥を演じるには生真面目すぎる。感情を解き放てと迫られ、不器用に自分を追いつめた彼女は、いつしか狂気の波に足…

愛する人

十代で望まぬ妊娠・出産を経験し、心を強ばらせたまま中年になった女。養子に出された娘は優秀な弁護士に成長したが、美しい彼女の内側も、どこか歪んでいる。一方で、妊娠を切望したものの適わず、養子を取ろうとしている若い黒人夫婦がいる。誰もが幸せに…

トスカーナの贋作

“本物と同等の価値がある”と認定された贋作があるならば、それは果たして本物か、偽物か──冒頭、作家の演説シーンで提示された難解な命題は、いつしか物語全体に敷延し、“愛の真贋の意味”が問われることに。主人公は“美術品の真贋の意味”を研究する作家と、…

パロディ要素満載の10巻を越えるライト・ノベルの映画化だが、散らかることなくうまくまとまっている(原作ファンの感想はまた別だろう)。かつて誘拐監禁事件に巻き込まれた少女と少年。後に解放されたものの、二人の心は“壊れて”しまっていた。そして今、…

ツーリスト

“奇形”という言葉が浮かぶほど圧倒的な、アンジェリーナ・ジョリーの美貌。彼女とたまたま出会っただけの旅行者役ながら、国際的優男としての存在感を隠しきれないジョニー・デップ。逃亡中の国際指名手配犯を軸とし、古都ベネチアを舞台に繰り広げられる追…