Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

風の絨毯

イランの世界遺産イスファンと、日本の飛騨高山という二つの歴史ある街を舞台にし、一枚のペルシャ絨毯をめぐってつながる少女と少年を描く。少女は、祭屋台にかけるペルシャ絨毯を受け取りに、父親と共にイランへ行く。絨毯は、その直前に事故で亡くなった少女の母親がデザインしたものだった。心を閉ざし、笑顔すら忘れている少女は、イランでたくましく生きる馬車乗りの少年と出会い、少年は少女と絨毯のために奔走し──。かしましく活気あるイランの大人たちと対照的に、お互いの言葉も分からない子供二人は、静かである。街並みや景色、絨毯の深みのある色彩の中で、黒い目をしたその二人が静かに心を通じ合わせているのが美しい。 

【CDジャーナル 2004年02月号掲載】