Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

藍色夏恋

夜中に忍び込む学校のプール、汗を吸った制服の白いシャツ、退屈な掃除の時間……郷愁の漂う初夏の台北を舞台に、誰もが何度も自分の“あの頃”見出すだろう、切なく甘酸っぱい物語である。 “人を好きになること”にまだ戸惑っている17歳の少女、モンは、親友が想いを寄せる男の子にかわりに近づき、逆に自分が好意を持たれてしまう。親友のためにも受け入れるわけにはいかない、彼のまっすぐなアプローチ……素っ気ないふりをしながらも、しかし少女は揺り動かされる。そして少女は、少年を夜の体育館に呼びだし、自分の秘密を告白し始める……。キス一つするのにも、ためらいと駆け引きがある若さ。自分も昔はこうだったと思い出しながら、ともすると自分の高校時代全体がこんなふうに美しかったと錯覚してしまうのも、青春映画の醍醐味か。斜めに見て笑うことは簡単だが、それをするにはあまりにももったいない、美しい映画である。

【CDジャーナル 2004年03月号掲載】