Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

おばあちゃんの家

 都会育ちの7歳の少年が、山奥に一人で暮らす祖母の元に預けられる。祖母は耳が聞こえず、口も利けない。一方少年は見ていて腹が立つほどのクソガキで、ゲーム機の電池が切れたと騒ぎ、ケンタッキーのチキンが食べたいとわめく。無言のまま、自分にできるやりかたでそれに応じようとする祖母。物語はとてもシンプルである。祖母の無償の愛に少年の心もいつしか揺らぎ……と、それだけの話だ。しかし、感動するのである。ストーリーよりも、おばあちゃんの黒光りする肌、そこに刻まれたシワから見えてくる、人としての歴史の圧倒的な力強さに感動する。登場人物のほとんどは俳優ではなく実際にその山村に住む人だというから、それも当然か。気持ちのいい映画だ。

【CDジャーナル 2004年05月号掲載】