Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

レニー・ブルース

およそ40年前のアメリカで人気を博した伝説的毒舌コメディアン、レニー・ブルース。本作では彼が場末のキャバレーから出発して大スターまでのし上がり、事故やクスリでまた没落していく様をドキュメンタリー風に再現する。そもそも猥雑なショウ・ビズの世界、彼の吐く言葉はお上品にタブー化された物事の本質を突き、大量の喝采と大量の非難を浴びた。今ではギャグとして伏せ字にされるような他愛のない言葉(F○○Kのたぐい)で何度も逮捕されつつ、世に溢れる“偽善”の皮を剥き続けた。「世の中には狂人が必要なんだ!」という裁判所での彼の叫びに胸が痛む。世の中のひずみを声に出して訴えることができるのは、非常識を自覚できない狂人だけ。ブッシュ率いる今のアメリカを、彼はなんと表現しただろうか。ここ数年で再評価の誉れ高い振付師、ボブ・フォッシーの珍しい監督作品である。“業界への反逆者”として共感する部分があったのだろう。

【CDジャーナル 2004年07月号掲載】