Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

グッバイ・レーニン!

 激動した東ドイツが舞台の、優しくて哀しいコメディ。熱心な社会主義者愛国心の強い母親が、心臓発作で昏睡状態に陥ってしまう。奇しくもその直後にベルリンの壁は崩壊、東西ドイツは統一へ。母親は8ヶ月後にやっと意識を取り戻すのだが、強いショックは命取りになることから、息子は必死になって“今までどおり”のフリをする。ゴミ箱を漁って昔ながらのピクルスのビンを探し、他の人には見向きもされなくなった東ドイツ製の衣服を身につけ、挙げ句の果てには国営放送のニュース番組まで捏造する。本人が大真面目なだけに、その健気な奔走ぶりが可笑しくてしかたない。テレビのニュースでは伝えられない、大事件の陰にある個々人の戸惑いが切ない。

【CDジャーナル 2004年12月号掲載】