Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

ブラザーフッド

 “韓流”とやらの甘さや美しさでこちらの受け入れ態勢が整ったところに、「これも忘れられては困りますよ」と本作が突きつけるのが、朝鮮戦争という史実。チャン・ドンゴンウォンビンという甘い糖衣でくるんではいるものの、その中身は苦い。二人は、貧しくも幸せに暮らしていた兄弟。その二人が徴兵されたことで、すべてが変貌してゆく。“家”のために自分より優秀な弟を生き残らせようとし、いつしか鬼となっていく兄。お互いを思いやるからこそ生じる行き違い。最後には、誰が敵で誰が味方かさえも分からなくなり──。大量の火薬を使った戦闘シーンは前評判通りの迫力だが、それよりも、“ふつうの人”が戦争の狂気に冒されてゆく様の方が怖い。

【CDジャーナル 2004年12月号掲載】