Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

cELEBRATION / 槇原敬之

槇原敬之はよくはしゃぐ。そのナイーヴな歌詞やクマっぽい容貌に反し、子供のように笑ってはしゃぐ。今年7月、総勢169名のフル・オーケストラを従え、武道館で自作の19曲を歌ったのが本作。“軽快なポップスを重厚な音で聴かせる”という試み自体、槇原らしい茶目っ気である。タキシードを着て、大まじめな顔で“遊んで”いるのだ。実際、特典映像の舞台裏では、いつも顔をクシャクシャにしてはしゃいでいるし。しかし彼の思い通り、コンサート部分は圧巻の光景。思春期の小さな一コマを切り取ったような情景が、厚みのある音を伴って迫ってくる。35歳にしてこのギャップを見せられる才能──尊敬し、そして羨望する。たまに叱りたくもなるが。

【CDジャーナル 2005年01月号掲載】