Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

下妻物語

思春期男子の特性を“単純バカ”とするならば、思春期女子は“執念のバカ”である。たとえば好きなアイドルをけなされると、本気で泣く。基本デッサンがイビツなまま、驚異的に緻密なイラストを描く。まだ世間を知らないがゆえの、粘りの強い女子の執念。この『下妻物語』では、深田恭子ロココ調ロリータ・ファッションに心酔し、土屋アンナはヤンキー魂に命をかける。一見正反対の二人だが、要するに“他人と群れることができない”という、思春期女子としては致命的な欠陥を持つ者同士だ。ド田舎・下妻を舞台に各自バカ街道を突き進みながら、いつしか二人の間に友情が芽生えて──と、これはそんなバカ話であり、そして胸がすくような快作でもある。大人はいつも思春期の子がやるバカが大好きだもの。映画人には嫌われがちなCM出身の監督だが、本作に関しては正解である。テンポのよいバカを楽しむためには、15秒単位のスピード感がちょうどいい。

【CDジャーナル 2005年01月号掲載】