Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

エレファント

 1999年4月20日にコロンバイン高校で起きた二人の生徒による銃乱射事件。同じ事件を起点としたマイケル・ムーア監督の『ボウリング・フォー・コロンバイン』が“事件と社会の因果関係”を声高に主張したのに対し、本作は“生徒の日常”を淡々と描くだけ。平凡でつつましく、しかしどこか不安定な高校生たちの日常。事件直後にはコンピュータ・ゲームやヘヴィ・メタルの影響が叫ばれたが、そんな分かりやすい理由を求めるのは大人の欲求。実際にはもっと些細な感情の糸が交錯し、犯人自身ですら、何が原因かも分からないまま事件が起こったのではないか。表情も変えず、静かに人を殺していく主人公たちからは、“分からない”ということが分かるだけ。

【CDジャーナル 2005年02月号掲載】