Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

フェーンチャン ぼくの恋人

男子より一足先に大人になっていく女子たち、少しだけ色気づき始めた自分、「女と口をきく奴は男じゃない!」などとはやし立てていた他の男子──思春期の入り口あたり、小さな教室の中に集まった仲間たちを思い出すと、その成長のアンバランスさに驚く。タイで国民的ヒットとなった本作が描くのも、そんなアンバランスな年代の、幼くて瑞々しい想いだ。主人公のジアップは床屋の息子で、二軒先に住むノイナーは床屋の娘。父親同士はライバルだけれど、二人は赤ん坊の頃からの仲良し。でもジアップは、本当は男の友達も欲しくてたまらない。「いつも女といる奴」と彼をバカにするガキ大将が、彼を仲間に入れる条件にしたのは、ノイナーの気持ちを傷つけることだった。ノイナーがもうすぐ遠くの町に引っ越してしまうことも知らずに、彼女を泣かせてしまうジアップ──。切ない。タイの味わいある田舎景色と、ノイナー役の少女の愛らしさが際だって胸に残る。

【CDジャーナル 2005年12月号掲載】