Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

バッド・エデュケーション

「淫ら」という言葉が思い浮かぶ。少年同士の間にある淫らさ、聖職者と少年の間にある淫らさ──男女の淫らさより一段、業が深い。舞台は1980年のマドリード。映画監督エンリケのもとに、美貌の青年が現れる。彼はエンリケが神学校の寄宿舎にいたときに初めて恋をした相手で、その禁忌の恋のおかげで、エンリケは神学校を追われた。16年ぶりに会ったその男は、二人が引き裂かれた悲劇をもとに書いたという分厚いシナリオを置いていく。だが16年前の真実と、シナリオに書かれた真実、そして現在の真実が微妙に食い違っていて──何が本当なのかは、最後まで分からない。分かった後に残るのは、どいつもこいつも淫らだったという哀しい結論だけだ。

【CDジャーナル 2006年01月号掲載】