Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

愛についてのキンゼイ・レポート

結婚後に別の相手と性交渉した経験があるのは、男性で50%、女性で26%。同性愛経験のある男性は37%、女性の自慰は62%。さらに前戯にかける時間、性交の頻度、自慰の方法……人々の性行動がタブーとして隠匿されていた半世紀前、1万8千人にインタビューすることでそれを科学的に調査して発表、アメリカ社会に絶大な衝撃を与えたのが、「キンゼイ・リポート」だ。60年代のセックス革命の下地となり、古い道徳に縛られていた人々を開放するきっかけとなった。だがこれを書いたキンゼイ博士、頭でっかちに理論的で、自分の考える「自然な性」を実践しているうち、周囲にいろいろ軋轢が出てくる(自分は助手の若い男とデキてるし、職場内でのスワップも当然。軋轢どころの話じゃないか)。「愛」と「性」を切り離し、自分自身も性を楽しみ、苦しみ、最後に見つけた大切なものは……美しい話だが、最初から答を言ってしまっている邦題はいただけない。

【CDジャーナル 2006年05月号掲載】