Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

探偵!ナイトスクープ

 東京の人は関西のお笑い番組といえば『よしもと新喜劇』を思い浮かべるようだが、それは正解のようで不正解。この20年弱、関西人のお笑い気質をリードし、育ててきたのは、間違いなくこの『探偵!ナイトスクープ』のほうだ。88年の開始以来、夜11時台の放送であるにもかかわらず視聴率は20%越えも当たり前。その素朴で秀でた企画やアイデアは、数々のバラエティ番組の元ネタとなってきたのだが、なぜか東京では知名度が低い(その関西ネイティブ度の高さが嫌われたか)。

 番組の形式は単純だ。視聴者がよせる依頼文(という名のネタ)に従い、芸人たちが探偵となって人を探したり、実験をしたり、謎の解明をしたり。探偵は、原則として依頼者本人と共に動き回るのだが、ここが重要だ。というのもこの番組、最初に依頼文を読み上げた時点で“笑いのオチ”まで言ってしまっているのだ。オチの分かっている話を、どう笑わせるか──探偵たちは、依頼者をはじめとする“素人”の特性を瞬時に察知し、笑いに転換することで、ネタを深める。DVD冒頭に収録の『謎の爆発卵』は、ネタとしては一言「卵は電子レンジに入れると爆発する」というだけ。なのに、“卵が爆発してあわてふためく依頼者の顔”がただただおもしろい。「母乳が余ってもったいないから、ケーキをつくりたい」「記念に買ったお茶を家族に飲まれたので、犯人を探して欲しい」といったバカバカしい依頼にも大マジメな顔で取り組み、くだらない回り道をして、笑わせる。しかし、ヘラヘラと笑っていると、ときどき思わぬ感動で泣かせられたりするから油断できない。

 今回が初のDVD化となるが、「紙を20回折れるか」「スキー場の関西人」など、今回収録されなかった名作はまだまだ多い。関東に住む元関西人として、続編を切望する。

【CDジャーナル 2006年07月号掲載】