Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

かもめ食堂

フィンランドのある街で、カフェの跡地に小さな日本食堂を開いたサチエ。街の人々は遠巻きに眺めるだけで店はガラガラだったが、マイペースな彼女の周りにはだんだん人が集まってくる。日本オタクの青年、なぜこの国に来たのか分からない日本人のミドリやマサコ。人々の抱える背景ははぐらかされたまま、物語は緩やかに進む。この映画、30代女子の夢の具現である。出てくるキッチン用品、家具、置物、みんなかわいい。地味なはずの日本のお総菜やおにぎりが、イッタラの皿に盛られアアルトのテーブルに載ると、どんなに美味しそうに映えることか! 昨今の北欧ブームをきっちり抑えつつ、でもあざとくないので憎めない。力の抜け加減が心地よい一作。

【CDジャーナル 2006年11月号掲載】