Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

ダ・ヴィンチ・コード

ルーブル美術館で猟奇殺人事件が発生、宗教象徴学の学者である男が協力を要請されるが、実は警察は彼を第一容疑者と見ていた。疑惑を晴らすため、男は警察の暗号解読官である女とともに、遺体の周辺に残された謎の解明に挑む。見えてきたのは、2000年もの間秘密裏に受け継がれてきた、ある深遠な真実だった──。歴史上の人物や事件に関する数々の仮説を取り込み、キリスト教の歴史、ひいては西洋史全体をひっくり返すような壮大な物語を紡ぎ出す。よく見知った記号や図形について新たな解釈を示されるなど、知的な興奮が心地よい。ただ、原作圧縮形の映画に付き物のジレンマで、映画だけを観た人は意味を追い切れず、原作を読んだ人には欲求不満が残る。

【CDジャーナル 2006年12月号掲載】