Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

やわらかい生活

両親の突然の死をきっかけに心のバランスを崩し、順風満帆の人生から降りてしまった優子。自分を守るために小さな嘘を重ね、何種類もの薬で心がしぼむのを防ぐ。そんな彼女の前に現れるのが、宿無しの従兄、紳士的な痴漢、気弱なヤクザ、EDの青年政治家──みなどこか不完全な男たちだ。東京の下町を舞台に時間が緩く流れる中、彼女の心は少しずつ変化していくが──。芥川賞作家・絲山秋子のデビュー作を柔らかいタッチで映画化。都会に住む30代女性は共感を覚える場面が多いだろう。ただし本作で“癒される”には、ある程度の強さが必要。心の病からの解放をわりと生々しく描いているので、引きずられやすい方は『かもめ食堂』を観た方がいい。

【CDジャーナル 2007年03月号掲載】