Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

太陽

近代の指導者たちを芸術映画として描いてきたロシア人監督が、ヒトラーレーニンの次に主題としたのが昭和天皇だった。本作は昭和20年8月、敗戦を受け入れ人間宣言を行う前後数日間の天皇の姿を描く。暗く湿った色調の中、重い史実に虚構を織り交ぜつつ、“人としての天皇”をイッセー尾形が巧みに、時に過剰に戯画的に演じた。「あ、そう」という口癖や常にもごもごと口を動かしている様で、無表情さの裏にある葛藤が垣間見える。ふと「天皇はこのとき何歳だったのだろう」と考えた。日本がアメリカに宣戦布告し、太平洋戦争が勃発したとき、昭和天皇は満40歳。今の自分と同年代だったとことを考えると、“人間天皇”の孤独さが少し現実味を帯びた。

【CDジャーナル 2007年05月号掲載】