Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

酒井家のしあわせ

関西の片田舎で暮らす再婚夫婦と二人の子ども。地味だが温かく、居心地の良い家庭……だったはずなのに、ある日夫が「後輩の男を好きになった」という突飛な理由で家から逃げ出してしまう。芸人や歌手など、生え抜きの俳優でない者が意外な名脇役として光ることはこれまでにもままあったが、そんな“名脇役”をよくこれだけ集めた。友近濱田マリの関西弁のセリフ回しは心地よいほど巧みだし、ユースケ・サンタマリア赤井英和の“男のダメな部分”の表現も素直に胸に届く。が、もっとも印象的なのが、唯一の“生え抜きの名俳優”に育つだろう森田直幸。大物。仕事で観た映画の、しかも少年の演技でダアダアと泣いてしまったのは、筆者はこれが初めて。

【CDジャーナル 2007年08月号掲載】