Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

幸せのちから

幼い息子と二人、ホームレス同然の生活から這い上がって一流の証券マンとなった男の物語。とはいえ派手なアメリカン・ドリームの物語でなく、筋運びは地味だ。それが退屈でないのは、二つの“現実味”のおかげ。一つはこの物語が80年代にサンフランシスコに生きた父子の実話を元にしているということ。ウィル・スミス演じる主人公のクリス・ガードナーは実在し、本当に息子と二人、地下鉄のトイレで寝起きした(本物は映画のどこかにカメオ出演)。そしてもう一つ、幼い息子役を演じるのは、ウィル・スミスの実の息子だ。気負いのない演技と父親への絶対的な信頼感が泣かせるが、なるほど。“成功譚”ではなく“父子の絆の物語”として観るのが正しい。

【CDジャーナル 2007年09月号掲載】