Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

ヘンダーソン夫人の贈り物

日本でも戦後の一時期流行した“額縁ショー”。舞台上の大きな額縁の中で、裸の女性が身動きせずにポーズを取り続ける。“これは絵画と同じ芸術である”という建前で規制をすり抜けた、ストリップの原型だ。この方法を第二次大戦直前の英国で発案したのは、なんと上流階級の未亡人だった。亡夫の莫大な遺産を持てあましたヘンダーソン夫人は、さびれた劇場を買い取り、当時の常識では考えられないヌード・ショーを興行。小気味がいいほど鼻っ柱の強いおばあちゃんが、役人をやりこめ、非難を無視し、ロンドンが空爆を受け始めてからもショーを強行し続けたのには、胸の内に秘めた理由があった──。ヨコシマな目的では観ない方がいい。額縁の中の女性の美しさは神々しいほどで、劣情を催すのがはばかられる。それより当時の衣装や化粧まで再現したレヴュー・ショーの出来を楽しむべし。最近の英国映画、上品と下品とを小ぶりにまとめるのがうまいよなあ。

【CDジャーナル 2008年01月号掲載】