Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

ディスタービア

 主人公が部屋から出られないという状況で、たまたま隣人たちの様子を覗き見するうちに、身近な殺人鬼の犯行に気づき──というストーリーはヒッチコックの名作『裏窓』と同じ。違うのは、主人公を高校生にして、全体をアメリカン・ハイスクールのカフェテリア風な軽い味付けにしたところ。

 『裏窓』では主人公は車椅子生活で部屋から出られなかったが、本作の主人公ケール(シャイア・ラブーフ)は、高校で暴力事件を起こしてしまい、裁判所の命令で3ヶ月間の自宅監禁中。足首にGPS監視システムをはめられ、自宅から30m以上離れると警察が飛んでくる。退屈しのぎに双眼鏡からハイテク機器まで使いこなし、近所の人の秘密を探ったり、隣に引っ越してきた女の子を覗き見したりといったシーンが続く前半は、まるで青春コメディのようで、素直に楽しい。

 スピルバーグが“第二のトム・ハンクス”と見込んで『トランスフォーマー』('07)の主演に選んだというシャイア・ラブーフは、確かにハンサムではないけれど愛嬌があり、活き活きと演技をする。また、次第に仲良くなる隣の美少女や、ヤンチャなアジア系の親友たちとのやりとりも甘酸っぱく、微笑ましい。

 一方で、時折挟み込まれるニュース映像や新聞では街で起こっている連続失踪事件が報じられており、ケールが隣人の男の不可解な行動をたまたま見てしまったことから物語は急転!

 少年らしい安直さで隣人を殺人鬼だと決めつけ、仲間たちとチームで監視するうちに彼ら自身が事件に巻き込まれて──と、物語の佳境まではテンポよく緻密な組み立てで進んでいくのだが──それに続くホラー&サスペンスの部分は、意外なほどストレートな展開で“そんなんアリかい!?”という場面もちょこちょこ。子ども向けに大味にしすぎたかな。主人公くんたち、あんな現場を見たんなら確実にPTSDにかかってるぞ、事件解決でノンキに笑ってる場合じゃない!

【CDジャーナル 2008年05月号掲載】