Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

音符と昆布

実はこの世に“自覚のないアスペルガー症候群”の人、少なくないらしい。“知的障害がない自閉症”ともいわれ、傍目にはふつうの人。が、他人の言葉の裏を読めない。表情を読めない。社交辞令が分からない。なので自分も相手も苦労する。モノの並び方や色に執着し、癇癪を起こす──そんなアスペの哀しい女性を、池脇千鶴が見事に演じた。本作はcinemusicaという映画と音楽を融合させた企画の5作目。印象深い音楽、深い色彩、ゆっくりと流れる時間、とりとめのないエピソードの断片──物語の起伏が見えづらいが、二度見直すと、あちこちに伏線がちりばめてあることが分かる。そこで「しゃれてる!」と思うか「だからなに?」と思うかはその人次第、だ。

【CDジャーナル 2008年08月号掲載】