Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

同窓会

 思春期の自分を照れもなく懐古できるようになったのは、年を取ったからだろうか。30代も後半になった今なら、昔の自分の純粋さやアホさを微笑ましく思い出すことができる。……などと急に年のことを考えたのは、本作主演の宅間孝行永作博美が、ともに70年生まれで筆者と同年だったからである(宅間はサタケミキオ名義で監督・脚本も担当)。80年代後半の島原を舞台に二人の高校時代からを描いた本作は、まさに自分の青かった時代と重なっている。30〜40代の人ならほとんどが、この映画に胸の奥を柔らかく掴まれたような郷愁を覚えるはずだ。

 主人公・克之(宅間)には、高校時代からの夢が二つあった。将来映画をつくることと、同級生の雪(永作)への初恋を実らせること。だが告白する勇気はなく、8mmカメラで雪を隠し撮りしては怒られる毎日。そんな二人は数年後、同窓会での再会を機に結婚する。そして二人が38歳になった今、克之は念願の映画プロデューサーとなり、調子に乗って新人女優と浮気したり……浮気の勢いであっさり離婚までしてしまったり……。だがその離婚の裏には、雪の体に起こった重い異変があった。医者の告知は三ヶ月。雪が、余命三ヶ月──? 克之は、残された時間に自分ができることをしようと、旧友たちを集めて二回目の同窓会を開こうとするが──。  学校の裏の駄菓子屋。授業を抜け出して飲んだチェリオ。自転車での寄り道。河原での喧嘩。誤解、早とちり、先走り。誰もが思い当たる懐かしさが、画面から溢れ出てくる。

 サタケミキオ主宰の劇団「東京セレソンデラックス」は、親しみやすく分かりやすい筋運びで、ダメでマヌケだが懸命に生きる人たちを描く。この初監督映画でもその持ち味は活き、伏線もドンデン返しも途中からバレバレだったりするが、それがどうした。余裕ある大人は、映画に格好つけのウンチクや裏読みなど求めない。素直な物語を素直に笑い、昔の自分を懐かしむがいい。

【CDジャーナル 2008年09月号掲載】