Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

消されたヘッドライン

新進気鋭の若い議員のもとで働いていた女性アシスタントが、地下鉄の駅で事故死した。彼女は議員の愛人だった。その前夜、路地裏の暗がりで、一人のヤク中の男が殺された。彼は置き引き専門のチンピラだった。無関係に見える二つの事件に細い繋がりがあることを発見したのは、ある新聞記者。その糸を辿っていくと、背後には国家を巻き込む巨大な陰謀が垣間見えてきて──。記者役にラッセル・クロウ、議員役にベン・アフレックという実力派を据えた、堅実なサスペンス。ゴシップやスキャンダルの中から小さな真実を拾い集め、謎の核心に迫っていく記者の姿が印象的。正義より売上が優先される新聞社や、利権のためには人の死も厭わない軍事企業の地味な描写も、地味だからこその現実味が秀逸だ。

【CDジャーナル 2010年01月号掲載】