Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

母なる証明

ある少女の惨殺事件。貧しい母子家庭の息子が安易な捜査で逮捕され、母は無実を証明しようと必死でもがく──。韓流ブームの牽引役で兵役を経たウォンビンの5年ぶりの新作だが、彼のファン向けではない。純朴で頭の弱い息子役を好演するかわり、本来の精悍な魅力は封印されている。際立つのは母役のキム・ヘジャ。韓国の国民的女優が体現する母の愛はあまりに強固で狂気的。切ない人間性を描いた一作だが、そこは『グエムル-漢江の怪物-』のポン監督、ときに凄惨な場面を静かに織り込む。冒頭のシーンを理解できたときには寒気を感じた。

【CDジャーナル 2010年06月号掲載】