Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

50歳の恋愛白書

年は重ねていても知的で美人、人気作家の妻として如才なく振る舞い、子どもが巣立った今は悠々自適の隠居生活──そんな50歳の女性の、隠された過去、ずっと燃えたぎっていた情念を描く。邦題はあまりに安易。これは薄っぺらな恋物語ではなく、複雑で曖昧な“大人”の要素──ドラッグ、不倫、偽善など──を炙り出す人生の物語。原題直訳で『ピッパ・リーの秘められた人生』のほうがよい。ジュリアン・ムーアキアヌ・リーヴスなど豪華キャストを端役扱いにしていてもったいないが、これもある意味大人の無駄遣いか。渋めの佳作だ。

【CDジャーナル 2010年10月号掲載】