Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

トスカーナの贋作

“本物と同等の価値がある”と認定された贋作があるならば、それは果たして本物か、偽物か──冒頭、作家の演説シーンで提示された難解な命題は、いつしか物語全体に敷延し、“愛の真贋の意味”が問われることに。主人公は“美術品の真贋の意味”を研究する作家と、その日出会ったばかりの女美術商。ドライブ先でたまたま夫婦だと誤解された二人は、戯れに夫婦のふりを始める。しかしその遊びは次第に真実味をおび、虚実の境を失って──。南トスカーナの美しい陽射しを目眩しに、観る者を惑わせる佳作。

【CDジャーナル 2011年09月号掲載】