Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

エンディングノート

あるおっちゃんが末期ガンの告知を受け、死の準備をする様をその娘が撮った、それだけのムービーだ。アマっぽく見せつつ、泣きや笑いの絶妙な配置は、もはやプロの仕事(作者の砂田麻美是枝裕和岩井俊二の弟子筋だが、本作が処女作)。昔は仕事命のモーレツ社員、今は孫娘にデレデレの、どこにでもいるおっちゃん。死を宣告され、長年のサラリーマン気質でつい「エンディングノート」=「自分の葬儀のマニュアル」を作ってしまう生真面目さ、滑稽で笑えて重みもあって、そしてぼくはずっと泣いてた。

【CDジャーナル 2012年06月号掲載】