Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

アニマル・キングダム

麻薬の過剰摂取で母親が死に、少年はその横でクイズ番組を眺めている。救急隊が到着しても、彼は多くを語らない。やがて絶縁していた祖母の家に引き取られることになったが、同居する三人の温厚な叔父は、実は全員が凶悪犯罪者。祖母を頂点に、犯罪を絆として繋がる“暖かい一家”──馴染めるはずもない環境だが、思えば最初から彼には一族の血が濃く流れていたのか。母親は、その血の絆を絶つために一族と絶縁したのか。終始無表情の少年から汲み取れるのは空虚のみ。空虚だけが重く密積し続け、いつしか──。

【CDジャーナル 2012年09月号掲載】