Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

私が、生きる肌

女の情念を緻密に描くアルモドバル監督が、今回は男の執念を軸とし、ややトリッキーな耽美怪談に仕上げた。美しい女が密室に監禁されている。人肌を模した薄い全身タイツだけを身につけ、一見全裸のよう。態度は従順で、反抗もしない。監禁主はある医者で、火傷した肌の再生の権威。その彼が密室で作り上げようとしているものは──。正直「そりゃないだろ医学的に」という場面もある。だが映像は常に絵画のように美しく、やはりこの監督、自分がゲイだけに、女の美醜を露悪的に描くことを崇高に楽しんでいる。

【CDジャーナル 2012年12月号掲載】