Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

最強のふたり

人が真顔で状況が深刻なほど、物語はかえってコミカルになる。事故で頸髄を損傷し、首から下が動かなくなった大富豪。その介護人の面接に、採用になるつもりもなく、ただ失業保険の点数稼ぎのためにやってきた黒人男。意外にも富豪は、その男を雇う。知性も気品もない、ただ陽気なだけの男を。しかしこの対極の立場にあるふたりが、なぜか意気投合し、融合し昇華して、互いに欠けていたものを補い合う──そうか、これは『マイ・フェア・レディ』の本歌取りか。絵面はまったく異なるけれど。粋な良作。

【CDジャーナル 2013年04月号掲載】