Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

東京家族

子どもたちの顔を見ようと田舎から上京してきた老夫婦。ところが子らはすでに自分の生活を持ち、どこかよそよそしい。唯一親身になってくれたの が、赤の他人である次男の恋人だった——。映画史に残る小津安二郎の不朽の名作『東京物語』(53年)を、山田洋次監督が舞台を現代に置き換え、 繊細なディテールは残しつつも大胆に換骨奪胎。元が元だけに批判も多いだろうが、良作だと思う。親離れと子離れ、老いと死、家族の絆とその喪失と いった普遍的な問題を静かに提起し、我が身に重ねて胸が痛む。

【CDジャーナル 2013年07月号掲載】