Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

二郎は鮨の夢を見る

90歳近くになった今も銀座で店に立つ鮨職人、ミシュランが三つ星を与え続けるその仕事ぶりを、アメリカ人監督が丹念に追った。異文化の人間だからこそ、緻密に貪欲に撮影できた食文化の記録。一流の職人の手元、その手業を映像として残したのはまさに功績。予約のみで一人前3万円からという敷居の高さにも驚くが、開店前のひとつひとつの素材に対する繊細な扱いを目の当たりにするとそれにも納得。唯一の難点は、芸術品とまで見えるその極上の美味を、こちらはつばを飲むばかりで一向に味わえないこと。

【CDジャーナル 2013年10月号掲載】