Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

君と歩く世界

「Ope?(今からは可能?)」という刹那な携帯メールでセックスを重ねる二人。男は粗野な生活から職も妻も失い、非合法の格闘技賭博にだけ居場所を見つける。女は生きることの欠乏感に苛まれ、夜の喧噪の中で男を誘惑し続ける。だが女が仕事中の事故で両足を切断されたときから、二人の間にあった無色のものがゆっくりと色彩を持ち始め──。“障害者と恋愛”という重い題材を、あえて何も強く主張しないことで、静かな共感を呼ぶものに昇華させた。短く淡々としたセックス・シーンがこれ以上なく切ない。

【CDジャーナル 2013年11月号掲載】