Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

ペーパーボーイ 真夏の引力

人種差別が色濃く残る69年のアメリカ南部。一人の死刑囚、その冤罪の可能性を感じて真実を突き止めようとする新聞記者に、まだ若いその弟。囚人の危険なにおいに惹かれ、会わぬうちから婚約者となる女。そこに黒人の同僚やメイドの視点を重ね、多層的な人間関係が暗闇の中を模索するように描かれていく。誰もが二面性を持つ中、一人無垢であった若者がそれゆえに傷つけられていく様子は残酷ですらあり、観ていて力を吸い取られる感も。N・キッドマン演ずるあばずれ女の喘ぎ声や放尿シーンは衝撃的。

【CDジャーナル 2013年12月号掲載】