Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

スリー・ビルボード

レイプされ殺された娘のために、警察署長を名指しにして「犯人逮捕はまだなの?」という路上看板を出した母親。だがその署長は街のみなに慕われており、しかもガンで余命数ヶ月。母親は人々の顰蹙を買うが、意に介さない。しかし“本当に憎むべき相手”の見えない悲劇は、思わぬ形で連鎖していく。登場する人物はみな浅はかで、物語も表面的には凄惨だ。それでもどこか穏やかな気持ちで観ていられるのは、人々の中にある最低限の優しさを、丁寧に紡ぎ描いているから。良作。

【CDジャーナル 2018年07月号掲載】