Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

あさがくるまえに

まだ眠る恋人をベッドに残してサーフィンに出かけ、事故に遭い、脳死状態になった青年。心臓病を患い、自分が助かるためには他人の心臓、つまり他人の死を待つしかないと逡巡している子持ちの女性。彼らの気持ちは“わざと”蚊帳の外におかれ、移植の準備は淡々と事務的に進められてゆく。納得できる者など誰もいないが、それが最善の道なのだ。心臓を取り出す直前、死にゆく青年の両耳にイヤホンをはめ、恋人が選んだという海の音を聴かせてやるシーンが切ない。

【CDジャーナル 2018年06月号掲載】