Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

しあわせな人生の選択

どこかの国では癌は良い病気だと考えられている、と聞いた。「自分で死ぬ準備ができるから」。本作はまさにそれを具現化した一本。自分の意志で肺癌の治療をやめ、自分の足で歩けるうちに会いたい人に会い、さまざまな方法で別れを告げ(あるいは告げず)、自分で自分の葬儀を準備する。特に、愛する老犬の里親を探して歩く様子は切ない。当初は彼に反対し(ときには怒り)、治療を続けさせようとしていた周囲も、徐々に彼の決意の崇高さを受け入れていく。“死に方”をとおして“生き方”を考えさせてくれる、佳い作品。

【CDジャーナル 2018年02・03月合併号月号掲載】