Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

クロワッサンで朝食を

母親を看取ったばかりで沈み込んでいた家政婦アンヌが、母国の東欧エストニアを離れ、パリに住む裕福だが孤独で意固地な老女フリーダの世話をすることになる。フリーダは当初アンヌを拒絶し、毒舌と意地悪でやり込めようとするが、その姿に自分に似た哀しさを重ね見たアンヌは、親身に世話を続け、二人は次第に心を通わせ始めて──。老いてから始まる新しく幸せな人生というテーマが美しい。大女優ジャンヌ・モロー老いを隠そうとしない姿勢も素晴らしく、物語自体の感動とともに、舞台となるパリの景色も胸を打つ。

【CDジャーナル 2014年03月号掲載】