Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

夏の終り

人生の前半、女として波乱の日々を送った瀬戸内寂聴の私的小説が原作。映画化・ドラマ化は過去に幾度も行われているが、原作者曰く「今までで一番原作に近い」。初老の作家の妾として暮らす若い女。その生活に不満はないはずだったが、以前関係のあった年下の男が現れたことで大人の微妙な三角関係に捻れが生じ──。誰もが静かで、誰もが身勝手。結果、息苦しい愛の形が生まれている。60年代の野暮ったい人々や風景の中、満島ひかりの現代的な容貌が「おしとやだがどこか飛んだ女」をうまくイメージさせる。

【CDジャーナル 2014年05月号掲載】