Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

鑑定士と顔のない依頼人

生身の女との付き合い方を知らず、女性の肖像画を蒐集し壁一面に飾っているその老人は、堅物だが敏腕の美術鑑定士。その彼に、見知らぬ女から「両親の大量の遺品の鑑定を」との依頼が来る。鑑定士は女性が住む荒んだ豪邸に出向くが、女性は何やかやと理由を付けて直接会おうとしない。最初は苛立ちもしたが、顔を見せない彼女に老人は次第に心を奪われ──画面を埋めるあまたの美術品・骨董品だけでも雰囲気を楽しめたので、最後の付け足したような謎解きは唐突でアンフェア、むしろ余分だったかも。

【CDジャーナル 2014年08月号掲載】