Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

プリズナーズ

もし自分の娘や息子が誘拐され、殺されたとしたならば、法の裁きをただ待つなんてじれったいことはできない──ましてや容疑者が証拠不十分で釈放され、ぬくぬくと自由に生きているならば。筆者なら、自分があとで刑務所に入ってもいい、そいつを引きずり出してなぶり殺すように思う。つまり、本作は観るものにそういう感情を与える。日本以外の多くの国では、ふたつの行動規範が入り組んだまま人々をまとめている。ひとつに、法治国家としての規範(守るべきは法律)、もうひとつは宗教国家としての規範(守るべきは聖書/コーラン/教典……)。しかし敬虔な信仰心は、裏返すと狂気となる。今の中東をみるがいい。法治など凌駕し“人を殺すな”というもっとも基本的な法律的・宗教的原則をも忘れさせている。主演の二人の演技が秀逸。“『X-MEN』のヒュー・ジャックマン”“『ブロークバック・マウンテン』のジェイク・ジレンホール”という冠はそろそろ外してやるべき。

【CDジャーナル 2014年10月号掲載】