Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

ぼくたちの家族

舟を編む』で国際的評価を得た石井裕也監督が“中流家庭の幻想”を描く。郊外の住宅地で息子二人を育て上げた主婦。歳は60前後か。しかしその安穏とした生活は、彼女の病を機に崩れ始める。脳腫瘍による痴呆──。だが物語はここで泣かせの美談方面に舵を切ることをせず、“平凡な家庭”という幻影の裏側をあぶり出す。たとえば、息子たちには隠していた山のような消費者金融での借金──。もはや実力派の妻夫木は言うまでもないが、池松壮亮の愛犬のような人物造形が◎。大竹しのぶに似た何かを持っている。

【CDジャーナル 2014年12月号掲載】