Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

ブルックリンの恋人たち

ミュージシャンを目指し路上で歌う生活をしていた弟が、事故で昏睡状態に陥る。それまで長く仲違いしていた姉は、弟の痕跡を追おうと、弟が録音した歌を聴き、弟が好きだった歌手に会い──いつしかその歌手が心の支えとなって──。全編に挿入される“商業化には何か一つ足りないセミプロ的音楽”の数々が、彼らのもどかしさを巧みに表す。ただ、邦題が主題と合ってない。これは安穏とした恋物語ではなく、歌を通じて必死に心を通わせようとする人たちの物語だ。地味な筋道の中、アン・ハサウェイの美しさが際立つ。

【CDジャーナル 2015年08月号掲載】