Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

パレードへようこそ

炭坑夫の労働組合と、ゲイ、レズビアン。前者はサッチャー首相の強硬政策で廃坑を迫られ町全体が困窮し、後者は敬虔なキリスト教徒から忌み嫌われている。接点のないはずの二者が、世間の偏見や無理解に対して共闘し始めた――。舞台は英国、84年。カルチャー・クラブデッド・オア・アライヴなど、カラフ ルでユニセックスなバンドが衝撃的で華やかな時代。その裏にあった地味な炭坑夫と同性愛者の共闘、もちろん最初から意気投合したわけではない。とくに炭坑夫側からの「なんで俺らがオカマ野郎と」との反発。が、最初に打ち解けたのは、町の中年妻たち。オカマとオバさんはなぜか共鳴する(笑)。図々しく世話焼きで、優しく肝の据わっている両“オバさん”の遭遇と協働が頑固な男たちを巻き込む様子、笑える。『リトル・ダンサー』の系譜の“衰退する町×セクシュアリティ”を扱う良作。ただ、その後の炭坑産業の衰退、AIDSの広がりを知る30年後の我々としては、 複雑な余韻も。

【CDジャーナル 2015年10月号掲載】