Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

彼は秘密の女ともだち

娘を産んだ直後に病で逝った女性を軸に、その生涯の親友だった主人公と、残された“夫”の交流を描く。ただ“夫”は、亡き妻のワンピースをまとい、ウィッグと化粧で女装して赤ん坊をあやしていた──“自分はゲイではないが、女として扱われたい”と。当初、激しい拒絶感を示す主人公(これは観客も同じ)。が、愛する人を失った者同士として、いつしか互いの心の穴を埋めるように──。オゾン監督らしく、官能的で倒錯し、どこか洒落てて、しかし共感のしどころが見つけにくい映画ではある。軽くて、実は渋い良作。

【CDジャーナル 2016年03月号掲載】