Shota’s Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

オデッセイ

“近未来SF”というより“近未来に起こった事件を事後にまとめた科学ドキュメンタリー”として観るのがよい。そこには陰謀も裏切りもドンデン返しもない。事故で火星に置き去りにされた植物学者が、限られた資材・資源・知識を駆使してジャガイモを育て、地球と交信し、生き延びようとする。科学的根拠を重視し、ただ淡々と(架空の)事実を積み重ねる手法は、『エイリアン』などで“突飛な”近未来SFの大家となったR・スコット監督の意趣返しか。主人公が連発するFワードの処理も、映画業界をからかうようで粋。

【CDジャーナル 2016年07月号掲載】